大屋根をもつ家型の保育園
小さい園児たちを包むような大屋根、天然木を主とした内装、公園に面した南側に開いた開口部により「大きな屋根で包まれた家のような保育園」を目指しました。
□課題と要望
①雨に強く屋根をもつ保育園
②園児たちが楽しさを感じる工夫
③園児が過ごしやすく、保護者も利用しやすく、保育士も働きやすい保育園
④新興住宅地における保育園のあり方
大きな一つの勾配屋根により建物全体を覆う構成とし、小さな園児を大きく包みこんでいます。シンプルな切妻屋根は雨漏りのリスクを最小限に抑え、夏季の直射日光を遮り、降雨時においても窓を開けることが可能になっています。
公園に面した南側、園庭に面した北側には積極的に開口部をつくり深い軒をもつ大屋根と庇により、明るく安全で心地よい保育室を実現しています。
茶色の外壁・屋根で構成された隣接する既存園舎や緑豊かな山々に囲まれた環境に溶け込む色彩として、紅葉時期の黄葉を参考に優しく明るい印象をもつ黄色の外壁にグレーの屋根と庇で外周を覆っています。
既存園舎とは大きく色が異なりますが、明度を揃えること、自然界にある色味を採用することで、違和感なく一体的な景観を形成しています。
内装に原色系の色彩を使ったカラフルな保育園も多いですが、カラフルな園児たちや持ち物・備品で満たされることをイメージし、全体として
・明るいカバのフローリング床
・天然木による腰壁・建具+白い壁
・白い天井
として、シンプルな内装としています。
園の様子が掲示され、園児と保護者が行き交う中廊下。暗くなりがちな中廊下は保育室経由で光と風が届く明るく軽快な空間としています。
一方、トイレは「緑」「黄色」「オレンジ」「青」の原色系の腰壁とし、出入口扉も同色の色で塗装して、保育室とは違う遊び心ある空間としています。
落ち着きのある空間とするためには、ある程度の囲われ感が必要となる。
一方、保育士同士のコミュニケーションや園内の状況の確認のためには見通しも必要となる。
この相反する二つの条件を満たすために壁・建具は腰壁部高さまでは見通しのきかない壁・フラッシュとし、上部を強化ガラスとしています。
園児にとっては見通しが利きませんが、目線の高い大人は見通しがきくことで保育がし易くなっています。